2012年11月27日火曜日

ソーシャルメディアを「業務」として個人が使う時代

ついに自治体に広がり始めた。
ソーシャルメディアの業務としての個人の利用だ。
リンクとともに記事を一部引用する。


陸前高田市、フェイスブックを「業務」に 被災者支援 

(日経2012/11/26 12:20)

「特徴的なのは職員向けのガイドラインだ。業務範囲の線引きに悩む自治体が多い中、陸前高田市は「市職員として自覚と責任を持った発言をすること」と原則を示した上で「業務の一環なので、勤務中の閲覧や書き込みは積極的に」と明記した。コメントの返信などに上司の決裁は不要。これまでトラブルはないという。」
ソーシャルメディアを広報に使う組織は増えてきているが、個人の利用はできないというところがこれまでは多かった。
要は組織だと仕事、個人だと遊び、趣味。なので仕事場では使えない、と。
個人が何をして仕事しているか、日々どういうことを考えながら働いているのか、それを情報発信することは本来は組織としても望ましいことである。
しかし、仕事場で個人の遊びとみなされている限りソーシャルメディアが活用されることはなかなか展開してゆかなかった。
これまでmixiやFacebook、Twitterはおろか、一般のブログすら仕事場から見られないというのは企業や役所でもあったようだ。
そこにこの記事である。
小躍りしながらこの文章を眺めていた。
なおこのご担当、Facebook活用で知られた佐賀県の武雄市からの出向の人だそう。

岐阜にいた時に、ソーシャルメディアが多くの問題を乗り越える魅力的なツールになることは周囲にも指摘をしていた。
ただその自治体や企業等での公式の使用にも躊躇していたのが当時の状況。
ましてや個人が使うなど・・・というのが正直なところ。
使いこなしている人はお分かりだろうが、情報発信とともに情報収集にも長けたところがあるのがソーシャルメディアの魅力。

こういう手段はすでに遊びと仕事、と二分法で明快に切り分けられるものでもなくなってきている。
本務と関係ないからやっちゃダメ、税金の無駄遣いになるからダメ、というのでは既存の組織がこれから成長する重要なきっかけを失う事にもなる。
勿論過度なお遊びは禁物かもしれない、でもそこで生まれる「つながり」をどう活かしてゆくかは会社員でも公務員でも大変重要なこと。
これらを使わない手はない。

「自覚と責任を持った発言を」という最小限のルールなのもよい。
人を信用する前提の約束で初めてみる、というのもソーシャルメディアのお約束っぽく好感が持てる。
暫く見守ってゆきたいとともに、同様の判断が全国の企業や自治体で始まることを願う次第。

2012年11月7日水曜日

白鴎大学経営学部で平成25年度から「都市戦略ゼミ」を担当します

白鴎大学経営学部で平成25年度からゼミナールを担当します。
テーマは「都市戦略ゼミ」としました。
自分の研究領域や学生さんの状況を勘案した結果の内容です。

以下は事務局に提出した、学生(新3年生)募集用のシラバスです。
改めて学生募集時に印刷物になりますが、自分を律してゆこうという意図もありまして、ここに示しておきます。

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「都市戦略ゼミ(小笠原伸)」

【テーマ・内容】

 都市は多くの現代的な課題を内包しているとともに、私たちの暮らすフィールドでもあります。それらについて考察することは魅力的な研究活動の一環であるとともに、皆さんが自らを鍛錬し社会の一員となる大学生としての知的能力を会得するにふさわしい場です。
 このゼミでは、都市について多面的に読解、把握、分析を行い、将来の都市像を構想しそれを実際にデザインしてゆくための都市戦略を構築するための研究活動を進めてゆきます。
 テーマとしてはまちづくりや都市計画、都市の美しさや社会システム、ソーシャルデザイン全般、テクノベンチャーやイノベーションによる地域産業振興・商業振興、ソーシャルメディアとコミュニケーション、さらには農業、観光、環境、ナショナルセキュリティ、市民参加やNPO、都市における芸術やデザインといった分野まで都市の諸活動を広く網羅し、クリエイティブで活力ある都市をつくるための手法を皆さんと考えたいと思います。

【ゼミの進め方】

 都市の具体の課題を前提にしたディスカッション、自治体や企業へのグループ調査などを軸に、文献講読や専門的な資料の分析、ゲストスピーカーとの対話など多様な内容を展開します。
 そして、実際の都市の現場に出向いて教員やゼミ学生が共に何度か「街歩き」を行います。都市を自分の目で見つめて読み解きながら考え、現在我々が直面する課題をどのように解決するのか、総合的に考えてもらう重要な場になります。
 さらに自分たちの調査や分析を地域の皆さんと共有し新たな知見を得て昇華させてゆくための、ゼミ主催によるワークショップなどの開催を考えています。

【注意事項】

 字面からは内容が難しく感じるかも知れませんがそれほどではないと理解して下さい。現在の学力や知識の有無は問題ではありませんが、何かを待っている姿勢の学生には厳しいゼミとなるかも知れません。むしろ、自ら動き考え提案するアクティブな学生が参加することを期待します。人生を前向きに捉えて、楽しさや面白さというものを優先順位の上位に置ける学生は是非合流してください。是非とも将来の地域のリーダーとなり、一緒に新しい社会を創りあげてゆきましょう。
 なお本ゼミは平成24年度まで設置された嶌信彦ゼミナールを引き継ぐことから、新4年生が在籍します。彼らと共に紅茶のポットを囲みながら都市の未来像を描くべく切磋琢磨していってもらいたいと願います。

以上